田瀬法律事務所の日記

2014年4月28日 月曜日

司法試験残酷物語

今日はGWの合間の平日で、今日は通常どおり仕事をしておりますが、事務所は明日29日から9日間のGW休みに入ります。
当方が司法試験の受験生だったころは、GWは司法試験のマークシート型の試験(択一試験)が連休明けに控えており、まともにGWを楽しんだ経験はありません。
ちょうど5月の第2週が択一試験に当たっており、その日は「母の日」です。
司法試験に合格する以前は母の日と聞くと、ゾッとするような気持ちになったものです。
司法試験は当方が合格してから劇的に変化し、当方の受検していた時代とは全く異なるものになってしまいましたので、司法試験という存在は、ここ10年くらい当方の頭から消えかけていました。
ところが、つい数日前、新聞の読者投稿欄に司法試験受験生からの投稿が掲載されており、それを読んで重い気分になりました。
当方が合格した旧司法試験はまさに一発勝負の試験で何回でも受けることが出来ました。
当方もその恩典に救ってもらった形で8回目の挑戦で合格しました。
まさに七転び八起きという訳です。
ところが、現在は大学を卒業してから法科大学院を卒業(法学部出身者で2年、それ以外は3年)しないと、原則的に司法試験の受験資格を与えらず、法科大学院を卒業してから5年間に3回しか司法試験を受けられません。
もし5年以内に3回不合格になると、以後司法試験を受けることは出来ず、それは「三振」と呼ばれています。
もし、当方が今の時代に司法試験を受けていたなら、ひょっとして三振していたのかと思うと、冗談ではなく冷や汗ものです。
現行の司法試験がこのように受験回数を制限していること以上に受験生に大きな負担を強いていることがあります。
それは法科大学院の学費の問題です(新聞の投稿もこの問題を強調しておりました)。
法科大学院は国立のもので授業料が80万円から100万円、私立で100万円から250万円で、授業のスケジュールがきつく、殆どの法科大学院生はアルバイトする時間がなく、その結果、実家から援助を受ける法科大学院生もいる一方で、奨学金を借りて法科大学院に通っている学生が主流と言われています。
現在、弁護士業界では司法修習生の就職難が常態化しており、司法試験に合格後司法修習が終了しても法律事務所に就職できないケースも珍しくありません。
ただ、弁護士資格があるわけですから、それさえあれば、後は本人の努力と研鑽で弁護士としての道を歩んで行くこと自体は可能です。
ところが、3年法科大学院に通って卒業後直ぐに合格できず、卒業後三振して受験資格を喪失してしまった場合、1000万円を超える奨学金の債務を抱えた状態で、社会の荒波の中に乗り出さざるを得ないことになり、これは三振した本人にとっても、社会にとっても大変な損失だと思います。
政府は三振制度について、5回までは受験できるほうな方向で法改正をする所存のようですが、そろそろ司法試験制度そのものの抜本的は改革が必要な時期を迎えているような気がします。

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2014年4月24日 木曜日

安倍総理とオバマ大統領とのすし外交の舞台

昨日(4月23日)夕刻来日したアメリカのオバマ大統領が、羽田空港から銀座の高級寿司店に直行し、そこで安倍総理と夕食を一緒に食べるというニュースを聞きました。
警備の関係から、事前にどの寿司店に行くかは報道されませんでしたが、国賓クラスのVIPと我が国の総理が食事をする銀座の高級寿司店と言えば2店しかありません。
それは、すきやばし次郎と銀座久兵衛です。
ともに、飲食代が最低でも3万円近くする店で、そうそう一般人が行ける店ではありません。
夜のニュースを観たら、すきやばし次郎で両首脳が食事をされたことが分かりました。
ニュースではオバマ大統領の意向かどうかはともかく、アメリカ側の意向ですきやばし次郎になったと報じておりましたが、おそらく警備の都合でそうなったのだと思います。
すきやばし次郎は銀座の大通りが交差する数寄屋橋交差点から少し離れたビルの地下にある店であるのに対し、久兵衛は銀座の高級クラブが立ち並ぶ細い道沿いにあり、警備しづらい場所と言ってよいと思います。
我が国の警備当局はVIPが街中に出る場合、万が一の場合を常に想定しますので、そうなるとすきやばし次郎が選ばれることはある意味で当然だったと思います。
すきやばし次郎は、ミシュランで連続3つ星を取ったことで一躍全国的に有名になった店ですが、その遙か以前から知る人ぞ知るという、食通の間では非常に有名な店だったようです。
そして、今から20年近く前、当方の実家(札幌)に住んでいた父が東京に用事で来た際、知人と行ったことがあり、当方は父からその当時の感想を聞いたことがあります。
普通、寿司店のカウンターに座ると、好きなネタを注文しますが、この店では約20個のおまかせコースのみで、全員それを頼まなくてはいけません。
そのコースが終了したら、追加で好みのネタを注文したり、酒を飲みたい人は刺身ネタを注文することができますが、まずはおまかせコースの握りが次から次に出されます。
父はあまりの早さに違和感を感じたと言いました。
その日は平日で、客は少なかったそうですが、父も一緒に行った知人も酒を飲まないこともあり、また追加注文もしなかったため、食事は30分くらいで終了したそうです。
今はそのおまかせコースは3万円ですが、20年前は2万数千円だったそうで、父はかなり不満だったようです。
当方は数年前、この店がミシュランで3つ星を取って話題になった頃、A級グルメを自称する先輩弁護士とすきやばし次郎に行ったことがあります。
値段は父が行った当時から少し上がって3万円で、少しお酒を頼んで、追加で2,3切れ刺身を切ってもらって7万円ちょっとでした(当然グルメを自称する先輩弁護士のオゴリでしたが)。
2人で3合くらいの酒を飲んでも、時間は1時間かかりませんでした。
確かに美味しいとは思いますが、いかんせん目の前に出されたネタを次から次と口に放り込まないと、目の前がネタで一杯になってしまいます。
もちろん、店主(あの有名な小野次郎さん)は何も言いませんが、早く口に入れろという空気をやんわりと出しており、父が言っていたとおり違和感を感じました。
銀座のすきやばし次郎に行ったことは、話のネタとしては使えますが、今でも自腹では行こうとは思えません。
寿司店は、酒を飲みつつ、好みの刺身を食べ、最後に締めで好みの握りを数個口にいれるという形でずっと使っている当方にとって、日米両首脳の外交の舞台となった超高級寿司店は、いささか使い勝手が悪い店だったようです。

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2014年4月22日 火曜日

司法界の事件隠蔽か?

昨日の朝日新聞の夕刊を読んでいたところ、司法界に身を置く者にとって大変衝撃的なニュースが目に飛び込んできました。
法務省の幹部職にある裁判官出身の50歳の男性職員が法務省内の女子トイレに隠しカメラを設置し、法務省から被害の訴えを受けた警察が捜査したところ、その男性職員の犯行と判り、本人は事実を認めているというニュースです。
司法界に身を置く者であれば裁判官出身の法務省職員と言えば、2つのパターンが思い浮かびます。
1つめのパターンは、判検交流と言って、裁判官が法務省に出向して検察官となり、検察官の職を数年経験する一方、検察官が裁判所に出向し、裁判官の職を経験する人事交流で、当方の同期の友人もこの経験をしています。
2つ目のパターンは少し専門的になりますが、法務省の「訟務局」という部署に裁判官が配置されるケースです。
法務省の「訟務局」という部署は国、地方自治体が裁判(民事訴訟、行政訴訟)の当事者となる場合に国の代理人を務める部署です。
判りやすく言うと、公立の中学校で教師の体罰によって生徒が大けがをして、その生徒が仮に市を訴えた場合、市の代理人となるのが訟務検事という職の公務員です。
割と単純な裁判であれば検察官の身分を有した訟務検事が事件を担当しますが、複雑な事案や世間の耳目を集める行政訴訟などでは、裁判所から法務省の訟務局に出向している裁判官出身の訟務検事が事件を担当します。
盗撮は迷惑防止条例違反で、刑罰上はそれほど重い犯罪ではありません。
しかし、酒に酔って他人に暴力を振るったとか、生活苦でやむなくスーパーから食品を万引したなどの場合のように、犯人に若干でも同情すべき傾向の犯罪と異なって、破廉恥罪の典型犯罪であり、常識を持った人であれば決して犯すはずのない犯罪です。
会社員や一般の公務員がこのような犯罪を犯した場合、懲戒解雇(免職)となることが多く、この裁判官出身の50男は当然退職すべきだと思います。
ただ、形式を重んじて(裁判官出身ではあるものの現在は法務省に籍があるので法務省という行政官庁の職員ということにすると)、おそらく法務省内部で、懲戒免職ないし依願免職という形になると思います。
しかし、法務省へはあくまでも出向形で形式的に転籍しているに過ぎず、裁判官という身分も併せ持っているとすると、事態は厄介になります。
裁判官というのは、どんな不祥事を犯しても強制的に失職(これを罷免といいます)させるには、国会に設置された弾劾裁判所によって罷免されなくてはならないのです。
極論すると、裁判官が白昼堂々と10人の人を殺しても、強制的に失職させるのにはそのような手続を踏まなくてはなりません。
これは司法権の独立を担保するための制度で、制度的には全く問題はありません。
この事件の発覚で、法務省、最高裁番所の最高首脳は頭を抱えたと想像するに難くありません。
もし実質を重視して弾劾裁判所による罷免という形を取るのなら、事件報道が長期化し、国の恥をさらす時間が多くなります。
これに対し、形式を重視すると法務省内部での処分ということで済むことになり、言うなら「臭い物に蓋」というわけです。
しかし、これは明らかに司法界での事件の隠蔽に他なりません。
昨日の新聞を見ながら、おそらく後者で処理されると思いつつ、寝床に入り、夜が明けて今朝の朝日新聞の朝刊を見たところ、
当方の予想したとおり、後者の方向で処理されるという記事が報じられていました。
隠蔽体質はどの世界でもあり、司法界もその例外ではなかったようで、大変残念です。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

2014年4月11日 金曜日

高校生を振り込め詐欺で逮捕、4億円の被害額

今、警察が現在総力を挙げて撲滅活動に取り組んでいるケースが2つあることはご存知ですか?
1つ目は、山口組に代表される指定暴力団の徹底的な取締です。
ここ数年で暴力団を取り締まる法律、条例は厳しさを増す一方で、法理論的に詰めて考えると我が国の最上位にある法である憲法に抵触する可能性がないとは言えないものもあります。
しかし、社会は全てが法律の理屈通りに行く訳ではありません。
暴力団の根絶によって社会の平穏が保たれるという利益が法に優先することも当然ありだと、当方は思います。
2つ目は、一向に減らない振り込め詐欺の取締です。
警察当局は振り込め詐欺の黒幕の多くが暴力団であり、被害金の多くは暴力団の資金源になっているものと見ております。
今朝のニュースで17歳の高校生(通信制高校)が振り込め詐欺で銀行に振込まれた被害金を引き出す「出し子」役のリーダーをしており、その出し子グループが銀行から引き出した被害金は日本全国で総額4億円にのぼっていることが報じられていました。
以前から高校生を含む未成年者が振り込め詐欺の出し子役として勧誘され、金を引き出しにきたところを警察に現行犯逮捕されるというケースは多く散見されましたが、出し子グループの被害総額が4億円にのぼったというのは、衝撃的なニュースでした。
逮捕された17歳の高校生は出し子グループのリーダーで、被害額の2,3%を報酬として受け取っていたそうです。
そうすると、1000万円前後の報酬を受け取っていたことになります。
しかし、残りの3億数千万円は振り込め詐欺グループが手にしたことになります。
当方も以前成人でしたが、振り込め詐欺の出し子の刑事弁護をしたことがあります。
警察では執拗にその出し子に指示をした者を突破口に振り込め詐欺グループの黒幕に迫るべく追及をしたのですが、その出し子は「もし少しでも話したら家族を皆殺しにする」と言われているので、自分は実刑になっても構わないので、絶対に知っている情報は警察に話さないと言って固く口を噤みました。
その結果、彼は懲役2年6カ月の実刑判決を受けて服役することになりました。
多くの振り込め詐欺グループではこのような卑劣な口止めが行われており、当方の友人弁護士が別の出し子を弁護したケースでは、出し子に殺人現場の写真を見せ、「これが裏切った場合の家族の姿だ」と脅されたそうです。
もちろん、裏切った出し子の家族を実際に殺害した写真なのか、合成写真なのかは判りませんが、それで殆どの出し子は凄まじい恐怖を感じるはずです。
その結果、出し子は2,3年程度の実刑を甘んじて受けることが多いようです。
今回の高校生は、通常、殺人、強盗、放火といった凶悪犯の場合に多くなされる検察官送致(いわゆる逆送)事件として成人と同様に裁かれ、相当長期の懲役刑を言い渡されることになるでしょう。
しかし、その少年は口を噤み通す可能性が高いでしょう。
そして真の悪は笑い続けるのです。
こんな理不尽が通ってよいはずがありません。
さらなる撲滅対策を講じることは焦眉の急です。

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2014年4月10日 木曜日

リケジョの涙・・・

昨日、ここ暫く社会面の話題を独占していた感のある理研の小保方さんの会見が行われ、昨日の夕方から本日にかけて、ニュースはそれ一色に染まった感じです。
年明け早々に「リケジョの星」として割烹着姿で鮮烈なマスコミデビューをして間もなく、論文のねつ造、データの改ざんなどの疑惑が噴出し、マスコミが散々ヒロインとして持ち上げておきながら、疑惑が出ると途端に揚げ足を取ったような報道をするマスコミの怖さを思い知らされたと感じた国民は多いと思います。
当方は昨日の生会見は仕事で外出していた関係で見ることはできませんでしたが、帰宅してからいくつかのチャンネルのニュースで見ました。
今朝の情報番組では、総じて、会見の録画を流す一方で、専門家、一般市民が会見を見てどう感じたかを報じていました。
当方も全ての今朝の情報番組を見た訳ではありませんが、概ね専門家は辛口の評価、一般市民は評価が分かれるというところでしょうか。
専門家の多くは、小保方さんが論文のねつ造や改ざんをしていないことを示す積極的な証拠を提示することができなかったため、反論会見としては説得力が非常に弱いとの評価をしています。
それに対し、一般市民はしおらしく、自身の未熟さ、不勉強さを反省して、時には涙声で語る小保方さんの姿に同情を感じた人が半数ないしそれに近い割合でした。
当方の職務は弁護士で、弁護士の主戦場は法廷での裁判です。
裁判で、当事者の言い分(主張)が100%対立している場合、白黒を決めるのはどれだけの証拠を裁判所に示せるかです。
その意味で「STAP細胞は間違いなくあります」、「200回以上作りました」、「第三者も作ることに成功しています」と力説しつつ、具体的な証拠を示すことのできない小保方さんは科学的に何の反論もしていないと同じであるとコメントしていた科学者のコメントは正しい指摘だと思います。
裁判でも言うだけならだれでも言うことができ、それを裁判所に認めてもらうのはその言い分を裏付ける証拠が必要であることは、おそらく中学生でもわかると思います。
ただ、小保方さんの会見は、しおらしく反省の態度を示すことで、疑惑が報じられてから非常に問題のある人物であるとの評価を、少しでも和らげることにあるとすれば、それなりに成功したと言ってもよいのかもしれません。
小保方さんは4月9日に理研に不服申立てをして、その後10日以内に再調査するかどうかの結論が出て、再調査の必要なしと判断されれば、次は懲戒処分に付され(その場合はほぼ間違いなく懲戒解雇になるでしょう)、再調査の必要があると判断されれば、改めて再調査委員会の結論を待つことになります。
理研は科学者集団ですので、小保方さんの反論会見で科学的な証拠で反論ができなかった以上、再調査の必要なしとの結論が出るのではないかとの予想が多いようですが、少なくとも昨日の会見で半数近くの国民が小保方さんに同情を示しているのですから、理研がもしあっさりと再調査の必要なしとの結論を出すと、今度は理研に対する国民の批判が大きくなると思います。
理研がそのあたりを見据えて、政治的な判断をせざるをえなくなる(心証的には再調査の必要はないと考えつつ、国民の批判を恐れて再調査をするとの結論を出す)可能性もあると思います。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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