田瀬法律事務所の日記

2013年12月25日 水曜日

とうとう起きてしまった不幸

早いもので、今年も残すところあと数日です。
子供の頃は一年が過ぎるのがひどく長く感じましたが、青年期を迎えた頃から一年が過ぎるのが結構早く感じるようになりました。
社会人になってからは、年を取るごとに年月の経過を本当に早いと感じるようになりました。
なかなか司法試験に合格せず、腐っていたころがちょうど昭和から平成になる頃でした。
今年は平成25年で、あと数日経てば平成26年です。
前置きが長くなってしまいましたが、先日、都内で大変悲惨な無理心中と思しき事件が起きました。
妻と離婚調停中の男性が、子供が部活動をしている少学校のグラウンドに押しかけて、子供と自分自身に灯油を浴びせて火をつけたのです。
男性は焼死し、小学生の男子児童は大やけどを負って重体になるという悲惨な事件でした。
小学生の児童は、母親が連れて別居しており、母親が児童と男性が会わせないようにしたため、陰惨な形での無理心中になってしまったようです。
実は、我々の業界の一部では、このような悲惨な事件がいつ起きるのかと気にかけていたのです。
離婚案件は、弁護士であれば日常的に相談や依頼を受ける案件で、当方も多い時は4,5件同時に担当しておりました。
ここ数年、妻から依頼を受けた弁護士が子供の親権を事実上取るため、妻に子供を連れて家を出て絶対に夫に子供を会わせないよう指示するケースが増大しております。
その結果、夫婦の争いが、夫と妻の弁護士同士の争いに発展し、子供のことはそっちのけで醜い争いになる事例が増えております。
幼い子供がいる夫婦が離婚する場合、離婚後親権を持たない一方(圧倒的に夫)が年に数回子供と2人だけで過ごせるよう取決めをすることがあります。
いわゆる面接交渉権です。
極論ですが、中高年(子供の殆どが成人しています)夫婦の離婚の場合は、財産分与が争点となりますが、若年の夫婦の場合は養育費と面接交渉権が争点となります。
そして、養育費をつり上げる手段として子供の連れ去りを妻に指示する弁護士がおり、これが弁護士会で問題となっています。
当方も面接交渉が争点である離婚事件を担当したことが相当数ありますが(本日その中の1件が平穏に解決しました)、当方はそのようなことはしません。
相手に弁護士がついている場合であってもそうでなくても、基本的には話し合いによる平穏な解決を基本としております。
弁護士の中には一度決めた面接交渉権を平気で無視するよう指示する者もおり、そのような無視に対抗する法的手段(これを間接強制と言いますが、その説明は今回は割愛させて頂きます)すら無視するような弁護士もおり、これは社会のルールを守りながらトラブルを解決する弁護士の資質に悖るものであり、そのような手法を駆使する弁護士は存在価値がないと思います。
今回の父子無理心中事件の背後にそのような弁護士の存在があったのかどうか、報道を見る限りはわかりませんが、そのような弁護士がいる限り、今回のような悲劇はまた起こりそうな気がしてなりません。
このような事件で一番の皺寄せを受けて不幸になるのは幼い子であることをどうかわかってもらいたいと思います。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

2013年12月12日 木曜日

弁護士の不祥事が止らない

昨年から今年にかけて、不祥事を犯して処分される弁護士の増加が止りません。
先日も弁護士登録4年目(35歳)の兵庫県の弁護士が依頼者からの預り金数千万円を横領して、自ら警察に出頭し逮捕待ちの状態であることが新聞で報じられるなど、登録して数年の経験の少ない弁護士にまで、不祥事の流れは辿り着いたことを知って、ある意味愕然とさせられました。
一昨年の12月には約10億円近い預り金を横領したたとして岡山県のベテラン弁護士が逮捕されました。
その弁護士は今年早々起訴されて8月に懲役14年という重い判決を受けています。
その前後に全国で預り金(その中でも多いのが成年後見人として管理している高齢者の財産を横領するパターンです)を横領して逮捕される弁護士が続発しています。
多くは40代後半から60代の弁護士で、止らない事務所の売上減少が犯行の大きな動機になっていることは間違いないようです。
ただ、今回出頭した35歳の若手弁護士はどのような経緯で数千万円の預り金を横領したかはまだ報じられておりませんが、非常に希有なケースだけに業界の注目が集まっています。
昭和から平成にかけて我が国は不動産バブル景気に見舞われました。
弁護士業界も例外ではなく、バブルの波に乗って濡れ手に粟の荒稼ぎをした弁護士もいたそうです。
バブル景気の恩恵を受けた弁護士の多くは、その後はコツコツと地味な仕事をこなす通常の生活に戻っていったようです。
しかし、バブル景気で私生活が浮わついた一部の弁護士は、その浮わついた私生活を維持するには、大きく減少した収入では無理だったようで、依頼者からの預り金に手を出して逮捕され(弁護士資格は当然のことながら殆どの場合無くなります)、その多くは塀の中へと消えて行きました。
当方が司法試験に合格した前後の平成6,7年当時は連日のように、不祥事を犯す弁護士のニュースが報じられ、NHKでも続発する弁護士不祥事を特集番組で報じるなど、一般市民の関心も多く集めていたように思います。
その後当方は司法修習生となりましたが、弁護修習期間中の倫理研修はかなり徹底したものだったという記憶があります。
この1,2年の弁護士不祥事の続発の原因は、何と言っても弁護士数の極端な増加でしょう。
十分な準備をしないまま単に弁護士の数を極端に増やした結果、売上が大きく減少した中高年弁護士が不祥事に走るようになり、
その波が若手弁護士にまで押し寄せたのが、今回の兵庫県弁護士会の35歳の若手弁護士の不祥事だと、当方は思います。
続発する弁護士の不祥事は、弁護士業界に対する社会の信頼を大きく損い、結果的に個々の弁護士の売上減少に直結する極めて由々しき事態です。
個々の弁護士が当たり前の倫理観念を持つことは当然として、当方は弁護士の活躍の場をより拡大することが一番大切だと、従来から思っております。
社会にはまだまだ弁護士に対する需要がたくさんあるのですが、その需要が十分に弁護士サイドに汲み上げられていない「ミスマッチ」状態になっています。
そのミスマッチ状態を解消することが重要だと思います。
先月、今や社会問題となっている学校でのいじめ・体罰問題に取り組むための弁護士の全国縦断組織が生まれました。
学校事件・事故被害者全国弁護団がそれで、当方もその組織の末席を汚させて頂いております。
当方も現在いじめ問題を複数担当しておりますが、依頼者は当方に辿り着くまでかなりの時間を要したと言っております。
様々な分野で、弁護士の全国縦断組織が次々とできれば、現在のミスマッチ状態解消への布石の一部になると、当方は考えております。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

2013年12月 4日 水曜日

止まないストーカー被害

悲惨なストーカー被害が止りません。
最近も千葉県市川市で悲惨なストーカー殺人事件が起きました。
被害者は22歳の女性で、何と3歳の娘の目の前で以前交際していた男性に刺されて命を落としました。
犯人は刃物を所持したまま電車で逃走したため、警察も最大級の緊急配備を敷いて懸命に犯人確保に努め、その結果、八丈島に向かうフェリーに乗船した犯人を船着場で逮捕し、異例のスピード逮捕ができたことは不幸中の幸いでした。
少し前にも、三鷹市在住の芸能活動をしていた女子高生が、元交際相手の男性に自宅で刺し殺される事件が起きて世間に不安を与えました。
以前はストーカー被害を警察に相談しても、事実上門前払いされていましたが、最近は警察の対応も(まだまだ不十分ですが)以前とは隔世の感を覚えるくらい変わりました。
しかし、悲惨なストーカー事件は止まず、残念ですが、これからも起き続けると思います。
もちろんストーカー事件の根底には男女問題、夫婦問題(正確には元夫婦問題)があり、おそらく以前から、発生件数は今ほどではなかったものの、毎年一定程度の事件は発生していたと思います。
当方も数はそれほど多くはありませんが、毎年数件のストーカー事件を担当します。
当方が文書で警告をしてストーカーが収まるケースもありますが、ストーカーが抵抗して簡単には収束せず、結果的に解決には警察の力を借りるというケースもあります。
ストーカーの被害に遭った場合、どのような対策をするかも重要ですが、当方はストーカーになるような相手と交際をしないという事前の防衛策が大事だと思います。
もちろん、出会ってすぐにその相手がストーカーになるとわかっていれば、100%そのような相手とは交際しないでしょう。
ストーカー(女性の場合もありますが、圧倒的に多い男性の例を前提に話を進めます)は出会った当初は、誰でもそうですが、優しくて好印象を与えるはずです。
そして、普通に付き合っている場合は問題はないのですが、ひとたび別れ話をすると、これが同じ人間と思えなくなるくらい極端に変貌するのです。
それゆえ、普通に付き合っている場合は、なかなかその相手がストーカーに変貌するかどうか見極めるのは難しいと思います。
それではどうやったらストーカー予備軍とそうでない人とを見極めるのでしょうか。
非常にベタでステレオタイプの言い方ですが、当方は、「失うものがある人物かそうでないか」が見極めの一つの大きなポイントだと思います。
職業で差別する気はありませんが、市川市のストーカー男は無職か誰でもできる仕事をしており、三鷹で女子高生を殺害したストーカーもアルバイトをしていたような男性でした。
もし、ストーカー殺人をした結果、その後の人生全てを棒に振る(市川のストーカー男は22年から25年の懲役刑になるでしょう。出所する頃は40代半ばから後半です。家族からも縁切されているはずです)のは、自分の人生は半ばどうでもよく、自分の将来に展望や夢を持てないと感じている人間です。
仮にどんな些細な夢であっても、その人なりに、自分の将来の夢や展望があれば、それを台無しにすることはまずしないはずです。
ありきたりのことですが、家族を大事にし、自分の仕事にそれなりに誇りを持ち、またたとえ小さくても自分なりの目標や夢を持っている人物なら、ストーカーにはならないと思います。
万が一そのような暴挙に出ても、警察、弁護士などからそれなりに警告をされると、おそらく目が覚めて我に戻り、少なくても殺傷行為までには至らないと思います。
そのようなタイプの人物かどうか見極めることは、それほど高いハードル、難しいハードルではありません。
もし、これから付き合う相手、今付き合っている相手がそのような人物かどうか慎重に見極めて欲しいと思います。
もし、先ほど述べたタイプに当てはまるのであれば、慎重に別れる方策を考えて(そして何人かの信頼できる方に相談して)慎重に事を進めて下さい。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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