田瀬法律事務所の日記

2013年5月21日 火曜日

維新の会と弁護士

橋下徹大阪市長(維新の会共同代表)の慰安婦や沖縄の性風俗店についての発言が物議を醸しており、
中国、韓国と言った近隣諸国更に沖縄の基地を使用しているアメリカからは大きな非難が起こり、政界での盟友ともいうべき
渡辺みんなの党代表からは事実上の絶縁宣言までされるに至り、今回は橋下氏は余計なことを言って自ら墓穴を掘った形となった格好である。
当方は、橋下氏を指示も否定もしないが、日本では珍しいアメリカ型の政治家である。
アメリカの歴代大統領は、現職のオバマ大統領がそうであるように、弁護士出身の大統領が占める割合が非常に多い。
ところが、我が国で弁護士出身の総理大臣はまだ出ていない。
安部総理の前に自民党総裁を務めていた谷垣禎一法務大臣が、もしそのまま自民党総裁を続けていれば弁護士出身で初の総理大臣が誕生していたが、
残念ながら谷垣氏は自民党が野党であった時代の総裁で役割は終わり、自民党が政権に復帰の際は党内の政治力学で総裁の座から事実上下ろされ、
弁護士出身の総理大臣の誕生は暫く先の話になってしまった。
橋下氏は、弁護士を自身の究極のポジション(おそらく総理大臣を念頭に置いているはずである)実現のための通過点と考え、
メディアを上手に利用することによって現在の地位を得た人物である。
なぜ、橋下氏が余計なことに論及して墓穴を掘ったのか理解に苦しむが、高支持率が続く安部政権に対する焦りにようなものがあったような気がする。
橋下氏の発言の陰に隠れてあまり大きく取り上げられていないが、橋下発言の直後、維新の会の西村衆議院議員が極めて不穏当な発言をした。
それは「大阪には朝鮮人の売春婦がうようよいる」との発言で、とても国権の最高機関の構成員である衆議院議員の発言ではない。
維新の会はすぐに西村議員を党から除名し、議員辞職勧告を行った。
当然の措置であるが、この西村議員が弁護士出身であることは以外に知られていない。
西村議員は弁護士出身とは言っても不祥事で弁護士資格を失った立場であり、弁護士不適格者の烙印を押された者なのである。
西村議員は弁護士の名義を他人に利用させて不当に大もうけをした理由で所属する弁護士会から除名処分を受けており、
弁護士が除名処分を受けるというのは、極めて重大な法令違反をした場合に限られている。
このことは、その当時割と大きなニュースになったが、当方は昨年自民党が政権を奪還した総選挙で維新の会が西村氏を比例区の候補として
後任したことがまず驚きであった。
西村氏は元弁護士という経歴の他に父親が有名人であったことでも知られている。
今の若い人は判らないかもしれなkが、西村氏の父の西村栄一氏は、かつての旧社会党の右派の論客としてしられた政治家である。
西村栄一氏は旧民社党を創立した西尾末広氏の片腕となって西尾氏を支え、西尾氏の後を継いで第2代目の民社党委員長を務めた
野党の大物政治家の息子さんである。
その西村氏が弁護士時代に不祥事を犯して弁護士資格を剥奪され、政治家になって1年も経たないうちに不穏当発言をして
所属政党を除名されたことを見て、かつての野党のスター政治家だった父の栄一氏は草場の陰からどんな思いで見ているのだろうか。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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