田瀬法律事務所の日記

2015年5月28日 木曜日

水商売の女性に対する不倫慰謝料

ここ数ヶ月日記の更新をしておりませんでした。
日々の業務に追われ、なかなか日記が更新できずにおりましたが、本日の新聞でネタになりそうな記事を見つけましたので、それを題材として日記を更新します。
新聞記事の概要は次のようなものです。

1 夫が行きつけのクラブのママと不倫をしたので、妻がクラブのママに約400万円の慰謝料の請求をした。
2 裁判所は、クラブのママが客と不貞行為をすることは、いわゆる「枕営業」であり、それは売春と同じである。
3 売春の場合、対価(代金)は店や売春婦に直接金銭の形で支払われるが、クラブママの枕営業の対価は飲み代に間接的に含まれる。
4 そうすると風俗店などで売春をする場合と枕営業の場合との違いは対価が直接か間接かの違いであり、売春の場合は売春婦に慰謝料請求出来ない理屈が枕営業の場合も当てはまる。
5 よって、クラブママが枕営業した場合、妻はクラブママに不倫慰謝料の請求はできない。

この判決は第一審(地方裁判所)の判決で、クラブママが控訴せずに確定したとのことです。
クラブママが控訴した場合、この結論が維持されたかどうかは大いに疑問です。
当方はこの判決は、社会の実態を知らない裁判官が頭の中で論理を組み立てて書いた判決だと思います。
裁判官は、まず銀座などのクラブに行ったことはないと思います。
当方は、最近は仕事が忙しくて行けませんが、以前はそのような店が好きな先輩弁護士によく連れて行ってもらいました。
ただ、当方はあまりお金を持っていないと思われたのでしょうか(笑)、枕営業を持ちかけられたことはありません。
クラブ、スナックなどのママやホステスが枕営業を持ちかけるという話自体は聞いたことがあり、実際にそのような経験をした人からも話を聞いたことがあります。
しかし、この判決を下した裁判官は、クラブママやホステスの多くは積極的に枕営業をするものと決め込んでおり、それは彼女らに対し、非常に失礼なことだと思います。
また、風俗店の女性は客である男性が来店した場合は性行為ないし性行為類似行為を拒否できませんが、クラブママやホステスは客からそのような申し出があっても拒否できます。
そのような立場の女性が、枕営業であるかどうかはともかく、客の男性と不貞行為をした場合、男性の妻はクラブママやホステスに対し当然慰謝料請求ができると思います。
そのような立場の女性であれば、露骨に枕営業トークをして客を誘うことは考えられず、内心はともかく、客の男性が好きになったくらいのことは言うはずです。
判決を下した裁判官は、その辺りの女性の心の機微を全くわかっていなかったと思います。
但し、クラブママやホステスが慰謝料の支払義務を負うとしても、それは水商売でない一般の女性の場合と全く同じではありません。
どのくらいの割合になるかは、物差しがある訳ではありませんが、当方は半額くらいだと思います。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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