田瀬法律事務所の日記

2014年4月22日 火曜日

司法界の事件隠蔽か?

昨日の朝日新聞の夕刊を読んでいたところ、司法界に身を置く者にとって大変衝撃的なニュースが目に飛び込んできました。
法務省の幹部職にある裁判官出身の50歳の男性職員が法務省内の女子トイレに隠しカメラを設置し、法務省から被害の訴えを受けた警察が捜査したところ、その男性職員の犯行と判り、本人は事実を認めているというニュースです。
司法界に身を置く者であれば裁判官出身の法務省職員と言えば、2つのパターンが思い浮かびます。
1つめのパターンは、判検交流と言って、裁判官が法務省に出向して検察官となり、検察官の職を数年経験する一方、検察官が裁判所に出向し、裁判官の職を経験する人事交流で、当方の同期の友人もこの経験をしています。
2つ目のパターンは少し専門的になりますが、法務省の「訟務局」という部署に裁判官が配置されるケースです。
法務省の「訟務局」という部署は国、地方自治体が裁判(民事訴訟、行政訴訟)の当事者となる場合に国の代理人を務める部署です。
判りやすく言うと、公立の中学校で教師の体罰によって生徒が大けがをして、その生徒が仮に市を訴えた場合、市の代理人となるのが訟務検事という職の公務員です。
割と単純な裁判であれば検察官の身分を有した訟務検事が事件を担当しますが、複雑な事案や世間の耳目を集める行政訴訟などでは、裁判所から法務省の訟務局に出向している裁判官出身の訟務検事が事件を担当します。
盗撮は迷惑防止条例違反で、刑罰上はそれほど重い犯罪ではありません。
しかし、酒に酔って他人に暴力を振るったとか、生活苦でやむなくスーパーから食品を万引したなどの場合のように、犯人に若干でも同情すべき傾向の犯罪と異なって、破廉恥罪の典型犯罪であり、常識を持った人であれば決して犯すはずのない犯罪です。
会社員や一般の公務員がこのような犯罪を犯した場合、懲戒解雇(免職)となることが多く、この裁判官出身の50男は当然退職すべきだと思います。
ただ、形式を重んじて(裁判官出身ではあるものの現在は法務省に籍があるので法務省という行政官庁の職員ということにすると)、おそらく法務省内部で、懲戒免職ないし依願免職という形になると思います。
しかし、法務省へはあくまでも出向形で形式的に転籍しているに過ぎず、裁判官という身分も併せ持っているとすると、事態は厄介になります。
裁判官というのは、どんな不祥事を犯しても強制的に失職(これを罷免といいます)させるには、国会に設置された弾劾裁判所によって罷免されなくてはならないのです。
極論すると、裁判官が白昼堂々と10人の人を殺しても、強制的に失職させるのにはそのような手続を踏まなくてはなりません。
これは司法権の独立を担保するための制度で、制度的には全く問題はありません。
この事件の発覚で、法務省、最高裁番所の最高首脳は頭を抱えたと想像するに難くありません。
もし実質を重視して弾劾裁判所による罷免という形を取るのなら、事件報道が長期化し、国の恥をさらす時間が多くなります。
これに対し、形式を重視すると法務省内部での処分ということで済むことになり、言うなら「臭い物に蓋」というわけです。
しかし、これは明らかに司法界での事件の隠蔽に他なりません。
昨日の新聞を見ながら、おそらく後者で処理されると思いつつ、寝床に入り、夜が明けて今朝の朝日新聞の朝刊を見たところ、
当方の予想したとおり、後者の方向で処理されるという記事が報じられていました。
隠蔽体質はどの世界でもあり、司法界もその例外ではなかったようで、大変残念です。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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