田瀬法律事務所の日記

2014年4月11日 金曜日

高校生を振り込め詐欺で逮捕、4億円の被害額

今、警察が現在総力を挙げて撲滅活動に取り組んでいるケースが2つあることはご存知ですか?
1つ目は、山口組に代表される指定暴力団の徹底的な取締です。
ここ数年で暴力団を取り締まる法律、条例は厳しさを増す一方で、法理論的に詰めて考えると我が国の最上位にある法である憲法に抵触する可能性がないとは言えないものもあります。
しかし、社会は全てが法律の理屈通りに行く訳ではありません。
暴力団の根絶によって社会の平穏が保たれるという利益が法に優先することも当然ありだと、当方は思います。
2つ目は、一向に減らない振り込め詐欺の取締です。
警察当局は振り込め詐欺の黒幕の多くが暴力団であり、被害金の多くは暴力団の資金源になっているものと見ております。
今朝のニュースで17歳の高校生(通信制高校)が振り込め詐欺で銀行に振込まれた被害金を引き出す「出し子」役のリーダーをしており、その出し子グループが銀行から引き出した被害金は日本全国で総額4億円にのぼっていることが報じられていました。
以前から高校生を含む未成年者が振り込め詐欺の出し子役として勧誘され、金を引き出しにきたところを警察に現行犯逮捕されるというケースは多く散見されましたが、出し子グループの被害総額が4億円にのぼったというのは、衝撃的なニュースでした。
逮捕された17歳の高校生は出し子グループのリーダーで、被害額の2,3%を報酬として受け取っていたそうです。
そうすると、1000万円前後の報酬を受け取っていたことになります。
しかし、残りの3億数千万円は振り込め詐欺グループが手にしたことになります。
当方も以前成人でしたが、振り込め詐欺の出し子の刑事弁護をしたことがあります。
警察では執拗にその出し子に指示をした者を突破口に振り込め詐欺グループの黒幕に迫るべく追及をしたのですが、その出し子は「もし少しでも話したら家族を皆殺しにする」と言われているので、自分は実刑になっても構わないので、絶対に知っている情報は警察に話さないと言って固く口を噤みました。
その結果、彼は懲役2年6カ月の実刑判決を受けて服役することになりました。
多くの振り込め詐欺グループではこのような卑劣な口止めが行われており、当方の友人弁護士が別の出し子を弁護したケースでは、出し子に殺人現場の写真を見せ、「これが裏切った場合の家族の姿だ」と脅されたそうです。
もちろん、裏切った出し子の家族を実際に殺害した写真なのか、合成写真なのかは判りませんが、それで殆どの出し子は凄まじい恐怖を感じるはずです。
その結果、出し子は2,3年程度の実刑を甘んじて受けることが多いようです。
今回の高校生は、通常、殺人、強盗、放火といった凶悪犯の場合に多くなされる検察官送致(いわゆる逆送)事件として成人と同様に裁かれ、相当長期の懲役刑を言い渡されることになるでしょう。
しかし、その少年は口を噤み通す可能性が高いでしょう。
そして真の悪は笑い続けるのです。
こんな理不尽が通ってよいはずがありません。
さらなる撲滅対策を講じることは焦眉の急です。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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