田瀬法律事務所の日記

2014年7月15日 火曜日

帰ってきた「HERO」

昨日、13年振りにフジテレビの月9に、伝説の検事ドラマの「HERO」が帰ってきました。
当時人気絶頂の木村拓哉をドラマでは珍しい検事ドラマの主役に仕立て、ジーンズ姿で破天荒な検事を演じさせたこのドラマは大評判を呼び、木村拓哉がその後様々なキャラに扮したドラマが何本も制作されました。
しかし、HEROを超える作品は現われず、木村拓哉も中年の領域に入り、さらに、フジテレビも視聴率戦争で多局に大きく遅れを取っている中でのHEROの13年振りの復活は各方面から注目を集めていました。
正直に言って大変面白く、そして感動しました。
出演者は前作に出ていた数名を残し、大きく代わりましたが、そのあたりはインターネットでのコメントに譲りたいと思います。
当方が感動したシーンは木村拓哉が演じる久利生公平が番組の終盤に言ったこの台詞です。
「真犯人を逃したとしても、無実の人だけは絶対に裁判にかけてはいけない」
なぜ、この台詞に感動したかというと、大学の法学部の刑事訴訟法の話からしなくてはなりません。
刑事訴訟法は刑事手続について規定された法律ですが、この法律の理念には大きな2つの考え方が対立しています。
ひとつ目は実体的真実主義と言って、極端に言うと「真犯人の発見が何よりも大事で、そのためなら無実の人が処罰されることもやむを得ない」とする考え方です。
警察、検察は主としてこの立場で、戦前の裁判所(大審院)もこの立場でした。
ふたつ目はデュープロセス(適性手続)という立場で、極端に言うと「無実の人が処罰されることは絶対に避けなくてはならず、そのためなら真犯人が逃げることもやむを得ない」とする考え方です。
弁護士の多くはこの考えで、現在の裁判所(最高裁判所)もこの考えに依拠した判例を出すことがあります。
実際の実務は双方の考え方の長所を活かし、さらに短所を消しながら運用されており、どちらか一方に依拠するようなことはありません。
当方が感動したのは検事である久利生公平がデュープロセスを絶対視することを明言した点です。
おそらく、デュープロセスを自身のポリシーにして、それを明言する検事はいないと思います。
その意味で久利生公平はやはり、異端の検事だった訳です。
前回のHEROも殆ど観ておりましたが、久利生がデュープロセスの実践を重視はしてはいるものの、それをポリシーとして明言はしていなかったように思えます。
復活したHEROでは、初回から久利生がデュープロセスに依拠することが明言され、番組の流れでもその他の検事も明言こそしないものの久利生と同じ理念を持つようです。
その意味で、脚本家は非常に法曹界の事情に通じた人のようで、法律家として、今後の展開が非常に楽しみです。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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