田瀬法律事務所の日記

2014年3月 7日 金曜日

親子二代での最高裁判所長官就任と柏の通り魔事件

ここ数日ニュースの社会面を賑わせているのは柏市内で起きた通り魔殺傷事件です。
これまでの常識では、通り魔は秋葉原の殺傷事件のように日中人通りの多い繁華街で起きていました。
しかし、柏の通り魔事件は深夜に犯人の住むマンションの目の前の通りで犯行を行っており、偶々偶然かもしれませんが、亡くなった被害者の男性が犯人のマンションの住人という、これまでに例のないような事件でした。
犯人の人柄や犯行の動機についての報道が暫く続くものと思われますが、その事件の裏で、近く最高裁判所の長官に就任予定の寺田逸郎裁判官は以前最高裁判所長官をされておられた寺田治郎氏のご子息であり、親子2代にわたって司法府のトップである最高裁判所長官に就任するのは我が国で初めてであるとのニュースは、柏の事件の衝撃の強さで、あまり国民的な関心を呼ばなかったようです。
今の安倍総理大臣は3代目の政治家で、祖父も総理大臣を務めた方です。
民主党政権下での鳩山元総理大臣も安倍総理と同じく3代目政治家で、祖父も総理大臣をされておられた方です。
それ以前の自民党政権下での麻生元総理、福田元総理、小泉元総理、故小渕元総理、故橋本元総理もみな2代目、3代目の政治家です。
このように、総理大臣が2代目政治家であることが当たり前になってきた平成10年前後から、我が国は大きな社会転換を迎えたような気がします。
つまり親が一定の社会的地位にないと、子供は社会で非常に苦労し、一度社会の平均的なレベルから落ちると、再びそこから這い上がることは至難の業であるということです。
それは、一言でいうと「富の固定化」とでも言うべき現象です。
当方が物心ついた昭和40年代は、努力すればそれなりに見返りが期待できる時代でした。
もちろん、昭和39年の東京オリンピックが象徴しているように、我が国は高度成長経済真っ直中の時期であり、国民全体がよりよい暮らし、より豊かな暮らしのために一丸となって頑張っていた時代でした。
その後、オイルショックによる経済の停滞を最小限度のダメージで乗りきった我が国は、極端な高度成長経済は終焉を迎えたものの、安定成長の時代に入り、そのころ(当方が大学生のころですから昭和50年代半ばだったと思います)国民総中流化ということが言われました。
当時は、現在のように非正規雇用者の割合が30%近いという数字は考えられず、アルバイトをしている若者の多くは、何か目的があって、その目的を達成するための生活の手段として選択していたように思います。
たとえば、音楽や演劇の道などに進みたいと思っていたり、芸術家、小説家などを希望していても、そう簡単に成功するとは限りません。
そこで、彼らが選んだのが、自分の目指す道のために努力しながら、アルバイトをして生活を凌ぐ生き方です。
当方も司法試験合格を目指して数年アルバイト生活(大学受験予備校の講師)をしていたことがありました。
当方は大学受験予備校でのアルバイトを複数掛け持ちしており、職場には当方と同じく司法試験の受験生や演劇の道を志している女性や小説家、漫画家を目指している男性もおり、それこそ、そのような多くの若者(若くない人もおりましたが)は自分の夢に向かって頑張っていました。
当方は幸いにして司法試験に合格することが出来て、今弁護士をしておりますが、当時のアルバイトの職場での仲間のうちで、目指す道に進めた人は少ないと思います。
今、若者が正規で雇用される機会は以前と比べて大きく減少し、派遣、契約社員といった形での雇用が大幅に増加しております。
これは長引く不況で、そのような非正規雇用が企業の雇用の調整弁とされているからでしょう。
そして、非正規雇用でもまだ仕事があればよいのですが、そのような非正規雇用にすら採用されない若者が確実に増えており、そのような若者の不満が爆発したのが、秋葉原の通り魔殺傷事件、今回の柏の通り魔殺傷事件のように思えます。
おそらく、この種の事件は今後も増えることはあっても減ることはないと思います。
ここ数年来、若い男性の草食化ということがよく言われますが、社会の閉塞状況が続いていることと無縁ではないような気がします。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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